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	<title>nocturne-02</title>
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		<title>Good‐by puppy love　/ひどいカカシ先生。15.7.30up</title>

		<description>絶対的な運命だとカカシは言った。

 出…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 絶対的な運命だとカカシは言った。

 出会いは5年前。突然俺の前に現れた。
 中忍に昇格したばかりだった。
アカデミーを卒業して5年。与えられた任務を誰よりも数多くこなし、自己鍛錬も時間の許す限り行った。
 必死だった。木の葉で自分の存在意義を見出す為に。何よりもそれが全てだったから。
16歳で中忍になれやっと一人前になれたと高揚した。自分の能力を生かし木の葉の忍びとして全うしたい。
 満ち溢れた情熱と自信は、見るからにか細そうな男が最も簡単に打ち砕いた。
 俺を頭から押さえつけ、無理矢理に身体を奪った男が言った。

 「オレの二番目になってよ」

 忍びとして今まで我武者羅になって突っ走ってきた。子どもに毛が生えたぐらいの知識しかない俺は何が起きたか分からなかった。
 生理的に流れた涙を腕で拭い、目の前にいる銀髪の男を睨む。
 細い肉体には綺麗なほど均等に筋肉がついている。ガラス細工のような綺麗な顔は、ジッとイルカを見つめていた。
 「誰がっ！！」
 二番目の意味が分からないが、一番と言われようが同じだ。憎悪しか感じない男に吐き捨てる様に言えば、形の良い薄い唇の端が上がった。
 「一番じゃなきゃ駄目なの？でもそれは無理。アンタは二番」
 怒りに震える手でシーツを握りしめた。
 「三番でも四番でも願い下げだ！！俺の前に二度と顔を見せるな！」
 啖呵を切るイルカをキョトンとして眺め、薄っすら微笑んだ。
 「ヤダよ。だって気に入ったんだから」
 「…………………っ」
 対峙している筈なのにこの男との温度差はどうだ。嫌味なほど整っている顔をマジマジと見れば、白い指がイルカの頬に触れ、びくりと身体を強張らせた。
 「痛かったから怒ってるの？暴れなかったらもっと優しく出来るよ……？」
 「ひっ…！やっ、嫌だ……っ」
 脇腹をなぞられ声が喉に引っかかる。
 細い腕は難なくイルカの両腕を掴み上げる。自分と歳は近いだろう、端整な顔の男の腕には、闇で暗躍する部隊の入墨がはっきりと月夜に浮かび上がっていた。
 力の差は歴然だ。悔しさに唇を噛んで男を睨んだ。押さえつける物凄い力に抵抗もままならない。
 黒く濡れた瞳に吸い込まれるように、男は唇を落とし目尻に溜まった涙を舌で掬い上げた。

 写輪眼のカカシ。
 名前を聞いた時は驚いた。
 知らないはずがない。
 自分より4つ歳上の上忍。
 写輪眼でコピーした技は数えきれず、里外のビンゴブックに載っているほどだ。
 尊敬さえしていた。忍びであれば誰もが憧れる。
 俺は、その上忍に強姦された。
 同意の上ではない。そうだ、あれは強姦だ。
 一度や二度じゃない。
 夜になると俺の家に現れた。俺が任務で疲れていようが、寝ていようが関係ない。
カカシが求めた時は無理でも脚を開かされた。
こんな関係絶対に認めない。毎回必ず拒否をしたが、どう嫌がろうにもあがらえない。
 一方的に注がれる熱に必死に耐える。
カカシは最初性交する為だけにに俺の家に来ていた。やり終われば直ぐ帰る事もあるし一晩過ごす事もあった。
だが、徐々にカカシが俺の家で過ごす時間が増えてきていた。
それが俺を苛立たせる。
これ以上俺の中に入ってくるな。
やるだけだったら居なくてもいいだろう。
なんなんだ、この男は。


＊


20歳を過ぎたある日、カカシは部屋で寛いでいた。
 「俺さあ」
 熱心に本を読んでいたカカシが本に目を落としながらふと口にした。
カカシはあまり会話をしない。甘えるように肌に触れながら一つ二つ話す事はあったが、熱心に何かを話す事は無かった。
 物静かなのは好都合だった。寝るか本を読むか、その程度ならと彼を好き勝手させ、一人でやりたい事をするようにしていた。
 「…何ですか」
 教員の試験が迫っている。
ノートから目を離さずにカカシに答えた。
 「恋人がいたんだよね」
 驚いた。
 顔を上げるが、カカシは本から目を離していない。その表情からは何も伺えない。
 直ぐに目を伏せイルカはペンを動かす。答えるか迷ったが、それ以上にカカシの言葉の先を聞きたいと思った。
 「そうですか」
カカシはイルカの相槌を確認したかのように、続ける。
 「彼女とはさ、暗部に入ったばっかだった時に出会ってね。一つ歳上。俺より強くなかったけど、術は長けてるし頭は良かった。俺が好きになって、付き合うようになって」
 彼女。
 成る程。御丁寧に二番目の俺に一番目の話をしてる訳か。
カカシは本を閉じ、頬杖を付きイルカを見た。
 「惚れた弱みってやつ？仕事一筋で俺に全然構ってくれなかったけど、それでも良かった」
 思い出すように、うっとりとした顔つきで言った。
ふざけてるなあ。
ずれた感覚は相変わらずだと思う。
 「だったらその彼女一本に絞ったらどうですか」
 「言うと思った」
ふふ、と笑いを漏らした。
 「でもさ、死んじゃったんだよね」
 顔を上げればカカシと目が合った。
 口にした言葉とは裏腹に感情の揺るぎがない静かな瞳は、薄っすらと三日月がかる。出会った頃は幼さが多少残っていた顔も、今や凜とした大人の美しさを持っていた。
 「あ、死んだか定かじゃない、が正しいか。任務に出てから消息を絶って今に至ってるから。生死不明で消息不明」
     でも、俺はまだ彼女が好きなの。
 微笑みながら言った。
 恋人が突然任務中に事故か別の任務に巻き込まれたか。兎も角彼女はカカシの前から消えた。
 話からして五年は経っている。誰もが生きてないないだろうと考えてる中、カカシだけはもしかしたら、と恋人を消せないでいる。
 彼女は生きていて自分のところに帰ってくると思っているのではないか。
 彼女がいなくなり寂しい時に俺を見つけた。理由なく俺に惹かれたが、相手は男で当たり前の様に抵抗した。どうしても手に入れたいカカシは、自分の能力をフルに活用し力尽くで自分のものにした。
 自己陶酔もいいところで、俺に至っては迷惑甚だしい。
しかもその恋人が帰って来ないお陰で、俺との関係は4年目に突入した。
 勿論20歳を過ぎた今も彼女なんて出来ない。
 中忍試験に合格した時の志は今も変わらないが、とうに夢は手放した。
 任務で戦地へ行くたびに自身の能力には限界がある事を痛感した。
 分かっている。上忍にはなれない。
 身近にこんな良いお手本がいれば尚更だ。
 生まれ持った才能が如何にすごいかを知っている。人間としては最低最悪の男だが、やはり忍びとしては天の才能を持っているのだ。
 嫌でもカカシの話は耳に入った。
 闇でしか動いていないはずのカカシの噂は絶える事がない。ランクの高い任務はカカシを中心に動き、木の葉はカカシでもっているとまで言われたのを聞いた時は驚きもしたが納得した。
そう、平凡すぎる自分とこの男の天才的な能力には圧倒的過ぎる程差があった。
 潔く今までの夢は切り捨て、新しい夢を持った。三代目からの薦めと元々子ども好きなのもありアカデミーの教員の試験を受ける事にした。
 「先生になったらイルカの事イルカ先生って呼んでもいい？」
 無邪気な問いをカカシが投げかけた。
 「……好きに呼んでください」
 目を細め嬉しそうな顔をした。
 「イルカ先生…」
 写輪眼のカカシとは思えないくらいの甘い声を耳元で囁いた。他に誰がこんな姿を知っているのだろう。
 反応しないイルカを煽る様に耳朶を舐める。ペンを持つ手をカカシが塞ぐ様に掴んだ。
 「イルカ、しよ…？」
 女の代わりだと言った後によく言えるな。
 無神経過ぎるんだよ。
それとも代わりの俺には神経が通ってないとでも思ってんのか。
それか、代わりだからどうでもいいのか。
 誘う様に唇を啄ばまれ舌で舐め上げる。
 抗うように力を入れれば、顎に手を添えられ上を向かされる。カカシの赤い舌が生き物のように蠢きイルカの口内を荒らした。
 「っふ……ん……」
 背中を走る甘い痺れは徐々に身体を侵していく。緩くなった口元を思うがままに貪り、舌を吸い上げた。
 「…今日はいっぱいしたい。…いいよね」
ベットに押し倒すと首元をやんわりと舐め、きつく吸い上げ赤い跡を残す。その微かな痛みにイルカは声を上げた。
その声に誘われるようにイルカの上衣を乱暴に捲し上げ唇胸に這わせた。胸の突起を潰すように擦りあげ、もう片方を舐めて甘く齧る。
 「はぁ…あっ……ん…っ」
 堪えるも漏れる声を必死で飲み込む。それを解放するかの様に、硬くなった赤い突起を爪で引っ掻く。イルカは身体を震わせ思わず銀髪を掴んだ。
 胸元から腹筋へ舌を這わせながら動く。
 快楽に慣れてしまった身体は簡単にこの男の手によって堕ちていく。
 途中からどうでもよくなった。

 何回目の射精で頭がぼんやりとする。
 「…っ、イルカ……ここ？…ここがいいんだよね…？」
 「はっ…ぁっ……も….やっ」
 未だ熱く猛った肉棒を、感じる場所へ的確に打ち付ける。荒くなった息を吐きながら反る身体を愛おしそうに指で滑らせた。
 「イヤじゃないでょ……っ、ね…いいって…言ってよ」
カカシの先から溢れた先走りで擦る度に水っぽい音が部屋に響く。
 容赦なく突き上げられ眩暈がするほど脳がくらくらした。
 「あ！……っは……あぁう…！！」
2人の腹にあるイルカの性器も限界とばかりに赤く熟れ先はとろりと液体を零していた。
 「もっと…鳴いて…俺を欲しがって……」
イルカの張り詰めた熱を激しく扱き出し、激しく腰を動かす。
 「はあっ、あっ！あ！……んっ…」
カカシを心の奥から押し出せば押し出す程鮮明に、カカシの存在は主張をするかのようにねじ込んでくる。
 見えないカカシの欲望に頭が沸騰しそうだ。
 揺らぐ視界の中でカカシの目が笑う。
 幸せそうに。
カカシは肉棒を遠慮なく突き上げイルカを高みへと向かわせる。
イルカの恍惚とした顔に魘されカカシは額に汗を浮かばせ、強い快感に顔を歪ませた。
 「っ……イルカの中…凄くいい…」
 「あぅう…！！あぅあっ…ああ！！」
 高い声を上げ、イルカが大きく身体を震わせながら白濁を撒き散らす。
 「ーー……っ」
 同時に中を締め付け、カカシが苦しげに息を吐くと、イルカの再奥へ叩き上げ熱を断続的に吐き出した。
 熱い……。
カカシの熱を受け止めた身体は力なくベットに沈む。
 「イルカに俺の匂いが染みつけばいいのに…」
 独り言の様に熱っぽく囁き最後を出し切って尚抜こうとはしなかった。

 熱くて溶けそうだ。
この熱で俺の頭も溶けてしまったのだろうか。
 溶けたら、この身体はどうなるんだろう。
 溶けてしまいたい。
 何もかも。このまま。



＊




 「ツグミが生きてた」
 昼間、突然窓から入ってきたカカシが、呆然としたまま呟いた。
 一瞬誰の事か分からず顔を顰めれば、カカシは視線をイルカに向けた。片手に持っていた獣の面を手から離すと、カン、と弾いた音と共に床に落ち、円を描く様に転がった。
イルカはその転がる様を目で追っていた。カカシの漏らした息にふと視線を上げる。
カカシの淡い青色の瞳がイルカをぼんやりと見た。
 「両目を負傷して別の里の村にいた。ごめん、イルカ。俺ツグミの側に居たい。いいよね？」
 一番目の彼女が生きていた。
カカシの信じていた通りに。
しかしーー面白い事を言う。
 自ずから来たのなら、自ずから去ればいい。
 俺に何の為に許可を求める。
 棘で覆われた毒を含む果実を、無邪気な子どもが食べてとせがんでいるように。
カカシの純真な眼差しが、俺の考えを場違いであるかのような錯覚を生み出した。
こみ上げる感情。
 「…ふっ……ははっ」
 可笑しくて堪らなくなった。
 「…何で笑うの？」
カカシは不思議そうな顔をした。
 「だって…、そんな事どうして俺に聞くんですか？…どうでもいい事ですよ」
 「どうでもいい？」
 訳がわからないと聞き返す。
 笑いを切り、カカシを睨んだ。
 「今まで好き勝手に決めて来たのは誰だよ。笑わせんな」
 可笑し過ぎて、心が激昂する。
 「俺に聞くな」
カカシは気まずそうに頭を掻いた。
 「…また来るから」
 「来るなよ」
 「来るよ。イルカに会いたいから」
 被せるように強い口調でカカシが言い切った。
 何処までも馬鹿にするんだな。
 「そんなの知るかよ。戻ってくるな」
 「イルカはそれでいいの？」
 「………………」
 「イルカは俺の事好きだよね」

   スキダヨネ

心が戦慄した。
 詰め寄って肩を掴まれる。カカシの目の奥に灯る不安げな光をみた瞬間、自分の揺れる気持ちに気が付き怖くなった。
 気がついたらカカシの頬を叩いていた。
 乾いた音が部屋に響き渡る。
 「あんたなんか好きでも何でもない」
 叩かれた白い頬がうっすら赤くなる。カカシの唇が少し歪んだ。
 「出てけ」
 床に転がる面を取ると、入って来た窓からカカシは立ち去った。



 ＊


 戻って来ないと思っていたから驚いた。
カカシが出て行ってから5日後、扉を叩かれた。
 布団に潜っていたイルカは眉を寄せて、枕元にある目覚まし時計を手に取った。
 夜中の2時を過ぎている。
こんな時間にくる相手なんて決まっている。
つい最近出て行ったはずの男だ。
 来るとは言っていたが、この時間かよ。
やりきれないとイルカは頭を抱えた。
 溜息さえ溢れる。
もし仮にのこのこと顔を出されたら蹴り出すつもりでいたが。
ーー仕方がない
 のそりと身体を起こして扉を開ければ、予想通りにカカシが立っていた。

 罰が悪い顔をする訳でもない。
 開き直ってる顔でもない。
 扉を開けた先にいるカカシは、言い表せないような、不思議な顔をして立っていた。

 「ねえ、聞いて」
 任務を終えたままのカカシからは微かに血の匂いがした。いつもの様にカカシの身体を確認した。怪我はしてない。
 「……とりあえず家に入ってください」
 「いい。ここで、いい」
 顔を顰めた。そんな事一度でもあったか。いや、無い。
 鍵をかけてあろうが自分勝手に入り、窓から入る事だってあった。
それが今目の前にいるカカシは丸で他人行儀だ。
いや、他人だけど。と、意味なく一人思えば、カカシは未だ視線は空を見たままだ。
このままカカシをを蹴り出す訳にいかないか、と諦め顔を作り相手が口を開くのを待った。
 「ちょっとね、自分でもよく分からなくなっちゃって」
カカシは本当に困っていると、そんな目をした。

 俺と別れた後、恋人に会いに行ったのだとカカシは話した。

 彼女はカカシを見て喜んでくれた。しかし、恋人として関係を続けたいとカカシが告げると、彼女は難色を示した。
 「なんで？気持ち冷めちゃったから？」
カカシにはあり得ない態度だった。
 彼女は問いに間を空け、大きく綺麗な目はカカシを見上げた。魅力的な褐色の瞳は変わっていない。
 「私を待っててくれたのは嬉しいわよ」
 手元にあるリュックに目を落とした。
 荷物をリュックに詰め込む姿をカカシは眺めていた。
ようやく里に帰りはしたが、5年もの間帰らなかったのは記憶が曖昧だったからだった。木の葉で治療を受け、記憶も戻った今、自己鍛錬の為に遠征の任務を希望した。再び里を出る彼女は勇ましささえ感じた。
 「冷めてないなら別れる必要なんてないじゃない。もしかして他に男が出来た？ならそう言ってよ」
ため息混じりに首をゆっくり横に振った。
 「……ねえ、カカシ。あなた私になんて言ったか覚えてる？」
 「……何が？」
 素直に口にすれば、彼女は意味深とも取れる笑みを浮かべた。
 「もし私が死んだら後を追うって、そう言ったわよ」
 直ぐに思い当たった。それぐらい惚れてた。
 「言ったね、覚えてるよ」
 「……私が死んだと思わなかったの？」
 「思ったよ。でも、帰ってくるとも思った」
 「でも心の中では諦めてたんじゃない？」
 「……………………」
 直球な台詞はカカシの口を閉ざした。そんな事はないと言えばいい所だが、それは余りにも不実で口に出来なかった。
 「…ねえ、カカシ。私の前に現れたあなたは5年前と変わらない。しかも暗部で名を馳せ今も木の葉で忍びをしてる」
 淡々と赤い唇は続けた。
 「それは何故？」
 「は？」
カカシにとって不可解な質問だった。
 「何故って……」
 「あの時のカカシの言葉は嘘じゃなかった。でもあなたはこうして生きてる。その意味を考えたら？」



 「でね、まあ…俺は任務だったからそのまま出かけたんだけど」
 相変わらずぼんやりとした口調のカカシを見た。
 「……はあ」
 「あまりに考えすぎて、危うく死にかけたよ」
から笑いに顔を顰め改めてカカシの全身を見た。かすり傷はちらほらあるが、怪我という怪我は見当たらず、息を吐き出した。
 「……で、その意味は分かったんですか」
 「…………」
 再びカカシは沈黙を選んだ。
どうも煮え切らない態度に、イルカは溜息をついた。
 『帰って考えたらどうですか。俺は明日任務があるんですよ』
と、口に出せば帰るだろうか。もう試験を間近に控えて、勉強の為に睡眠を削っている。
カカシの迷走に付き合っている暇などない。
そう思ったが言えなかった。ただ単にその言葉で帰るとは思わなかったし、何よりカカシを突き放す言葉を避けたいと思った。
 「俺に一緒になって考えろって言ってるんですか？」
 改めて思い直した台詞を口にすれば、強い視線を感じて、イルカは思わず眉を寄せた。
 今日会ってから、初めてカカシはしっかりとイルカを目に写していた。
 妙な違和感を感じた。
 心音が高鳴った。
 思えば今日のカカシはカカシらしくない。それが、先程から自分の思考の邪魔をしている気がする。
その考えを肯定するかのように心臓がせわしなく脈打つ。
 嫌な予感がすると、丸で警告音のように早打つ鼓動に、呼吸が息苦しくなった。
これはーー怖いのか。
 短絡的にそう思った。
 怖いと思ったのはカカシが分からなくて悩んでいたと言う「答え」を見つけていると思ったから。
 数日前、カカシが初めて自分に対する感情をぶつけられた。
 反射的に現れたのは怒りだった。
それは自分でも抑えきれないくらいの波だった。
 結果カカシを初めて叩いた。
ただ、そこには怒りと恐怖と呼ぶには浅はかな感情が入り混じっていた。
それを今、思い出してしまった。
 目の前にいる男には、何の感情も含まない、ただの怒りだけでいいはずだ。
 「ねえ、イルカ」
 銀色の睫毛を伏せ、やがてゆっくりと青い目を開けた。
 「何度も考えた。ツグミの言った意味をずっと考えてた。心の中では死んだと思ってた。…なのにどうして、俺はツグミの後を追えなかったのか」
 眉間に皺を作ったままカカシを見る事しか出来なかった。握る拳に力が入る。
 「俺の一番はイルカみたい」
 「……冗談言わないでください」
 「冗談だと思う？」
 立ち尽くしたままのカカシが初めて動き、真っ直ぐに俺を覗き込む。
 「彼女がいるじゃないですか」
 「ううん。あんたがいい」
ぶるっと身体が震えた。それが分かったかのようにカカシは柔らかい笑みを見せた。
 都合いいって受け取ってもいいよ、でも俺は気がついちゃった。
その場にそぐわないような砕けた口調でカカシは笑った。
 「ツグミの後は追わなかったけど、もしイルカが死んだら俺生きてられない」
 木の葉屈指の忍びが言う。
 「イルカがいない世界に興味なんてない」
 地軸男だった筈なのに。
 「イルカが息をしてない世界なんていらない」
 「もういいです」
 言う度に真顔になっていくカカシに笑ってしまった。それだけで負けた気がする。
 「勝手に俺を殺さないでください」
カカシはイルカが笑った事に気が付いていないように、苦しい表情のままイルカを見た。
 「だってね、…そこまで考えなきゃ分からなかった」
そこで視線を下げる。
 「異常だよね、異常だって分かってたけど、考えたら怖いぐらい答えが見えた」
それが異常だなんて、どの面下げて言ってるんだこの男は。
 呆れてカカシを見た。
 俺が死んだ後の世界なんて何も然程変わらないじゃないか。
そこまで俺は立派な忍びじゃないですよ、もしそうなったら高い線香の一つでもあげてください、と言えばカカシはこの世の終わりみたいな顔をした。
 「なにそれ、ふざけた冗談やめてよ」
 深刻そうな表情を浮かべる。
これだ。どうしてこう俺が場違いみたいな方向に持っていくんだ。
 気持ちを切り替えるようにイルカは深く息を吐き出した。
 「いい加減部屋に入ってください。立ち話するような内容じゃないですよ」
 招き入れる様に身体を動かせば、カカシは遠慮がちに頭を掻いた。
 「入ったら蹴られると思ったから」
 見抜かれてるなあ、と内心笑った。
 「蹴っていいなら、蹴りますよ」
 眉を上げてカカシを見る。
カカシはまだ玄関から動こうとしなかった。茶化すような表情を戻して、まだ何か、と口に出しそうになりそれを口内で留めた。
どうしてかと尋ねるのは簡単だが、無理に聞く気にはなれなかった。言えるのならとっくに口にしているだろう。
そう言う人だ。
 躊躇いがちにイルカを見た。
 「イルカは、俺の事好きだよね？」
それが一番聞きたかったのか。
 身体の力が抜けていく。
 子どもが母親に尋ねるように、カカシの瞳には不安な光が揺れていた。

そもそも俺が教員になりたいと思ったのは、この人がいたからなんだよな。
でもそれは考えない様にしていた事だ。
 忍びとしては揺るぎない実力を持っているのに。俺の前で無理強いを敷いて我が儘で自分勝手で、そう、只々子どもだ。
 子どもに弱いのを大概にしないとって分かってるけど。
4年もの間それでもカカシから離れなかったのはーー

「好きですよ、カカシさん」

それが心にずっとあったからだ。



 翌日、初恋なんて儚いものだよねとカカシが笑った。
あれだけ好きだと思っていた恋人に何の未練も持たないなんて。と、不思議そうに首を捻るカカシは丸で夢から覚めたようにスッキリとした顔をしている。
 俺の初恋がカカシだなんて言ったら、また場違い以上にカカシは考え込むんだろうと、小さな子どもを見守るようにイルカはそうですね、と笑った。


 初恋とはその人にとって最初にする恋であり

初恋とは少しばかりの愚かさと、あり余る好奇心のこと。

それ以外何物でもない
 ]]>
		</content:encoded>
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		<dc:date>2015-08-28T22:26:45+09:00</dc:date>
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		<dc:publisher>WOX</dc:publisher>
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		<title>距離　/二人がくっつくまで15.6.27up</title>

		<description>あの日、話しかけられたのは偶然だと思っ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ あの日、話しかけられたのは偶然だと思っていた。


冬に近づいている。
任務明けに見上げた空は、今にも日が落ちんばかりに薄暗かった。
平和な里に戻されて、アカデミーを卒業したばかりの子供達とのどかな任務。馴染めるはずがない思いと、空虚な苛立ちに押しつぶされそうな事もある。
風に転がされている落ち葉を下足で踏み潰す。乾いた音で粉々になる葉。無表情にその葉を見つめる。
こんな生活に、自分は馴染んでいるのだろうか。
確かに今の部下は教えがいがあるし、莫迦みたいに砕けた空気に助けられている部分があるのかもしれない。
商店街の隅にある小さな居酒屋に、そのまま足を向けた。

平日だというのに、以外にも客が多い。店そのものが小さいせいもあるのだろう。
バイトで雇われているのか、若い女はカカシを笑顔で迎え、「混み合っていてすみません」と、カウンターの席へ促した。
小さな四角い木の椅子に跨って、お酒とつまみを適当に注文する。
「カカシ先生」
自分が呼ばれたのだと、分かったのに。何故だか他人事のような科白に聞こえて、聞き逃そうとしていた。
「カカシ先生」
再びかけられた声。顔を上げて横を見ると、忍服に身を包んだ男が立っていた。
特徴があるわけでもない、黒髪を１つに束ねきっちりと額宛てを額に巻いている。
その男にカカシは見覚えがあった。
里に戻って、部下を持つ「先生」になってから、何度か顔を会わせていた。確か、アカデミーの「イルカ先生」。真面目を絵に描いたような真人間。
ちらと目を向けたままのカカシに、イルカは笑顔を零した。
「・・・何？」
「カカシ先生もここで夕飯ですか？」
アカデミーの帰りだったのだろう。肩には大きめのカバンを提げている。イルカは空いている隣の席に腰を下ろした。
「・・・あ、誰か隣に来ます？でしたら外しますけど」
座って同じ目線になったイルカは、ちらりと辺りを見渡した。
真面目な喋り方だが、言っている事は馴れ馴れしい。まともに話したこともないはずなのだが。
「見ての通り、１人ですよ」
「そうですか、良かった」
何が「よかった」なのか。ホっとして笑うその顔は嘘見が無い。
ピンとこないが、隣で笑うイルカは嫌な感じがしない。
「よくこちらには来られるんですか？」
お酒と食べ物を注文し、おしぼりで手を拭きながらこちらを見た。
「ちがうけど」
「じゃあ、いつもは家で？」
「・・・・・」
「あ、そっか。・・・・あの、ほら。料理を作ってくれる人がいるんでしょう？」
「あー・・・俺、甲斐性なしだから」
これは自分に対する尋問か。はたまた単なる世間話か。上忍に対して聞くような言葉とは思えない。
皮肉を込めてカカシは誤魔化した。
「甲斐性なしですか・・・そりゃまた、すごいですね」
苦笑して運ばれた食べ物に箸を付けた。
もごもごと、まだ何か言いたそうにしながら箸をくわえている。
何を考えているのかよく分からない。
横顔をちらりと見た。
思った通りの面白味のない顔をしている。ただ、鼻頭に引かれた傷はイルカの顔によく合うのかもしれない。
「男にも甲斐性なしですか？」
「・・・甲斐性なしじゃなくて、人でなしになるかも」
「あは、それ酷い」
言葉では笑っているつもりなのか。急にイルカの顔から笑顔が消えた。
しゅんとして、そのまま持っている皿に視線を落とす。
「ま、人によるけど」
思わず出た否定の言葉。
「じゃあ、」
『俺は？』と次に言葉が出てきそうだった。唇の動きで簡単に読みとれる。
「あんたには酷い事しないですよ」
先手を取ってカカシは続けた。ただ、目の前にいるイルカがどう出るのか、それが知りたかった。
微かに目を見開いて、すぐに白い歯を見せて笑った。
「よかった」
思っていた通りの反応。
さっきまで全く意図がつかめないような人間だと思っていたのに。
なんだろう、嫌な感じはなかった。
心の中で彼に対する興味が沸き上がる。目の前で無警戒に笑っている男の事をもっと知りたくなる。
これが、『人と親しくなるきっかけ』と言うことなのだろうか。
自分にはもうそんな気持ちは持っていないとばかり思っていたのに。

嫌な感じはしないから。それでもいいとカカシは思った。


＊＊＊＊＊


あれからイルカは、食事にお酒にカカシを誘った。
顔を合わすと、立ち止まって話をするようにもなった。
イルカからの誘いは断らなかった。特に断る理由もない。
人が何を考えているのかなんて、興味もなにもなかったのに。ふと、不思議に思う。
なんで俺に声をかけたのだろう。
気軽に声をかける相手でもないだろうに。仮にも自分は上忍なのだから、この階級差を考えると親しめる対象ではありえない。
それも、すぐに合点した。
「ナルトの調子はどうですか」
「あいつ、ちゃんとやってますか」
顔を合わせる度に今は自分の部下であるナルトの事を口にした。どんな生徒にもイルカは愛を注いでいるが、どうやらナルトは特別らしい。イルカ自身特別なんて生徒はいないと口では言うが、端から見れば分かる。
そういえば、ナルトも良くイルカとの思い出話や最近の事までよく嬉しそうに話している。
生徒の事を良く知るには自分は恰好の対象。

そんな気分にさせるつもりはないらしいが。
一緒にいる時はたいして気にはならない。一緒にいるのは楽しい。
過去の女たちには感じ得なかった。同じ様な時間を共にしていても何かが違う。
だけれど、この友達ごっこをイルカは望んでいたのだろうか。３歳児のままごとの方がまだ分かり易い。

心を許す訳じゃないが、似たようなモノがあるのだとしたら、それは-------
「ねえ、カカシ先生」
「・・・何？」
にぎやかな商店街。お互いに仕事も終わり、イルカと足を運んでいた。
『たまにはうちでご飯でもどうですか？俺、作りますから』
自炊の方が意外にお金かからないんですよ。
そう言われて気がついた。自分とイルカじゃあまりにも給料が違いすぎている。
殆ど毎日外食していては、イルカの財布もきつくなるはずだ。
自分が出すのには一向に構わないが。それを何て口に出して良いものか分からない。
正直、イルカの言葉に戸惑った。
嬉しいが、困る。
それも、どう言ったらいいものか。
考えていたら、一緒にここまで来ていた。
「ねえ、冬瓜。好きですか？」
「あ－、そうね・・・」
「じゃあ、キノコ。よく食べますよね。炭火で焼いたら美味しそう」
指で茸を追って、大きいエリンギを手に取っている。

「はい」
「？」
カカシが差し出した手のひらを、イルカは不思議そうに見た。
「貸して」
イルカの持っていたエリンギと、横に並んでいたキコノを数種類。適当に取って籠に放り込む。
「じゃあ、キノコで。俺奢りますよ」
「え？」
「え？じゃなくて。あんたが作ってくれるんでしょう？」
「・・・でも」
「いいじゃない。あんたが作ってくれる日は俺が食材買うから」
少し間があった。
わざとらしい言葉だと自分でも思った。
ちらりと様子を伺うと、イルカは思考を巡らせて小さく頷いた。それがまたどんな風に捉えてるのか。
この人の頭の中が透けてたら、どんなにいいだろう。
一瞬でもそう思って、頭を振った。
今の関係が、『嬉しいが困る』じゃない。『困るけど嬉しい』だとしたら。
そんなこと、認めたくなかった。



さらにままごとらしくなったと言うべきか。外食は減り、イルカの家でご飯を食べる事が多くなった。
お世辞じゃなく、美味しいご飯作ってもらい。何でもない楽しい話をして。自分が任務から帰ってきた時には風呂を入れてくれた。心地の良い場所だとは思う。
終わらせたい訳じゃないけど、この関係をいつまでも続けられない。少なくとも自分はそう思っているのに。
一緒にいるだけのこの関係を、イルカは望んでいたのだろうか。
これっぽっちも思っていないなんて、言わせない。


＊＊＊＊＊


任務が早めに終わり、いつものようにアカデミーへと足を向ける。
毎日、まいにち。約束もしていないのに。それでも足を向けてるのはなんでなのか。
甲斐甲斐しいというか。何というか。はたまた自分の自己満足か。
「お疲れさまです」
廊下を曲がる所で、イルカの声が聞こえた。
教員室を出た所だろう。真っ直ぐ廊下を歩き、こちらの角まで歩いてくる。
「なあ、イルカ」
角を曲がる手前でカカシが足を止めた時、誰かがイルカを呼び止めた。
「たまには飲み会参加しろよな」
「あ、あ－、うん。でもごめん。また今度」
また今度。
そんな言葉で、イルカは同僚と別れて自分に会いに向かう。
たわいのない会話に、複雑な糸が絡みつく。
誘われてるならいけばいいのに。
断る理由はなんなの。
俺はそんな存在じゃないでしょ。
「あ、カカシ先生」
廊下の角を曲がり、足を止めて立っていたカカシを見てニコリと笑った。
「任務はもう終わったんですか？」
「・・・・まあね」
「早かったですね」
俺もです、と持っていた教材を上げた。
その笑顔。好きだけど、俺を不安にさせてるの分かってる？
狡い人間だと言ってしまえばそれまでだけど。
こんなに近くにいるのに。

「ねえ、たまには他の人とご飯食べたら？」
イルカの気持ちじゃなくて。どう思われるかとかじゃなくて。
そんな事はどうでもよかった。
「俺も、たまにはきれーなお姉さんと食事したいし」
「え、」
「最近会ってないって、駄々こねられて困ってるんですよ。俺もそういう楽しみ、嫌いじゃないし」
「だ、駄目です！」
怒った顔を見せた。
「・・・言ったでしょ？おれはー、人でなしだって。そんな良いヤツじゃないってあんたにも言ったじゃないの」
酷いヤツだって俺をなじればいい。このままの関係を解放されるのなら、逃げれるのならこれでもいい。
「俺には・・・酷いことしないって言ったじゃないですか」
いつかの科白をイルカは呟いた。
「そう？これが酷い事だって思えないんだけど」
歯を食いしばっているのが分かる。
そうだよね、こんな事言ったことないし、一緒にいるのが当たり前かのような距離にいたから。
このままの関係を望んでるなら、このまま嫌いになってくれたほうがまし。
「・・・っ」
泣くのかもしれない。目が微かに潤んでいる。
「俺が、・・・好きだって言ったら行かないでいてくれますか？」
「・・・分かんない」
言葉を選んでいるつもりなのに、それは自分にとって都合のいい言葉で酷い言葉。
俺の気持ちを動かしたんだから。もう一度動かせてみてよ。
「断られたら怖くて、・・・でも、俺カカシさんが好きです。断られても、好きです」
耳まで赤くなっている。
「ずっと、好きだったんです」
そうだよね。あんた俺が『好き』なんだよね。
なんでもっと早く言ってくれなかったの。あんたも狡いけど、俺はもっと狡い。
「でも、・・・俺悪い犬だから逃げちゃうかも」
「そしたら捕まえます！」
我慢していたんだろう。堪えきれなかった涙が、とうとう目から零れ落ちた。
隠すように顔を伏せる。結った髪が微かに揺れた。
「・・・じゃあ、捕まってみよっかな」
するりとイルカの背に両手をまわして。肩に顔を置いてイルカの顔を覗き込んだ。
「あんたが離すまでの間だけどね」
涙でくしゃくしゃな顔をして、赤い頬を強ばらせてイルカは顔を上げた。

「・・・おれっ、離しません！」

その言葉に、カカシはニンマリと微笑みを浮かべた。
俺もね、あんたが好きだって言いたいけど。
もうちょっと先にするね。
まだ泣き顔のまま鼻を啜っているイルカを見て心の中で呟いた。
 ]]>
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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2015-08-28T22:24:08+09:00</dc:date>
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		<title>福音　/カカシに会いたいイルカ先生。15.6.26up</title>

		<description>アカデミーが終わる頃には風が冷たくなる…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ アカデミーが終わる頃には風が冷たくなる。
もう冬だな、とイルカは呟いて小さく息を吐き出した。
季節の変わる、この匂いがイルカは大好きだった。

春から夏、夏から秋。
そして秋から冬。
子犬の様に鼻でくんくんと吸い込んだ。
----カカシ先生もこの匂いを感じてるかな。
赤い夕日を見上げる。

なんでだろう。
気が付くと、頭の中はいつも彼のことを考えてしまっている。
明日、明後日。帰って来るのはもうすぐ。
それだけで心が手で握られたような。
そんな自分に恥ずかしくなり少し顔が熱くなる。
本当だったら、彼と共に任務に出ている元教え子の事を考えていたはず。
経験も能力も少ないのはあの子達の方で、確かに心配はしているのだけど、それよりも先にあの人の顔が、声が、心の中にあって。

何考えてんだか。
歩きながら小石を蹴って道の端に飛ばす。
カカシの声がすごく好きだ。
低く、優しいトーンの声。
囁かれただけで、心の奥に染みわたって甘い痺れが背中を流れる。
自分を抱く時、まるで呪文のように耳元で囁く。
『好きです』

『好きです』

『愛してる』
その声を思い出して、頭のから背中へ。熱い塊が降りてくるようだった。
その言葉に自分は何も返していない。
俺もです。って、言うのは簡単なはずなのに。
カカシに言われただけで、胸が一杯になる。
自分の気持ちを、カカシは分かっているんだろうか。

ただ、一緒にいるだけでいいんだろうか。
それで、幸せなんだろうか。

そう言えば。
３日会っていない。
３日も声を聞いていない。
３日もあの人の熱を感じていない。

待っていればもうすぐ帰ってくるのに。
突然気分が暗くなった。
情けないと思う。
カカシの前では強がって、彼の想いを嫌々受け入れてるみたいな態度をとって。
本当は、カカシ先生が俺を想う以上に、彼に心を奪われている。
そんな自分を悟られるのが怖いんだ。
同じように甘えればいいのに、それがまだ出来ないでいる。
自分の前にいるカカシが全てでは無いと分かっている。
限られた表情しか見ていないと思うし、感情だってそうだ。
きっと。自分よりは遙かに大人だと思う。
恋愛に関しても自分より経験がある。
自分の、この莫迦のようなカカシへの想いが伝わったら、飽きてしまうんだろうか。

くだらない。
駄目だ。

ふるふると、イルカは頭を振った。

子供の頃から、悪い方へ悪い方へと考えてしまう癖がある。
自分が傷つくのが怖いから。
自己防衛の為に。


早く会いたい。
会えばきっとこんな気分が砕かれる。
会って、優しく抱きしめて欲しい。

あの声で、自分を呼んで欲しい。
『イルカ先生』
そうなんだ。自分の名前を呼ぶ。それがすごく心地良い。
『イルカ先生』
薄くて形のいい唇。
抱かれる時はすごく熱い。
熱を持ったあの唇が、自分の名前を囁く。
『イルカセンセイ』

『・・・イルカセンセイ』

この声がすごく好きなんだ。

「イルカ先生」

「・・・え」

前にカカシが立っていた。夕日が堕ち始め、辺りも暗くなっている。
本当にカカシが目の前にいる。
ドクン、と心臓が一気に血を駆けめぐらせた。
「か、カカ、シ先生・・・いつからそこに・・？」
イルカの言葉に、目尻を下げて安心したような顔をした。
「さっきからイルカ先生を何回も呼びましたよ。なのに、難しい顔して、気づかないから」
少し距離をおいた場所からイルカの前まで歩き出す。

ドクン　ドクン

イルカの心知るわけでもないカカシは、嬉しそうな顔をしている。
ぎゅうと拳を胸の上に置いたまま、イルカはカカシを見つめていた。
ああそうだ、とカカシの唇が口布の下で動いたのが分かった。
「ねえ、早めに任務が片づいたんです。久しぶりにどっか食べに行きます？」

ドクン

「それか、イルカ先生の家にしますか？今回の任務で暖かいご飯全然食べれなくて。俺はどっちでもいいですけど」

いつもより、カカシは言葉多くイルカに話す。
優しい表情でイルカを見ている。

「とにかく、お腹空いちゃってるんですよ。イルカ先生はご飯まだですよね？」

答えなきゃ。
そう思えば思うほど、イルカの体が熱くなる。
会いたいと、思っていたカカシが目の前に現れるなんて。

なかなか答えないイルカの前まで来たカカシは、顔を不思議そうに覗き込んだ。
「イルカ先生？」
途端、かあ、と顔が赤くなるのが分かる。
近づく顔に、自分の心臓の音が聞こえてしまうんじゃないか。
小さく息を吸い込んで落ち着かせようとした。
「・・・イルカ先生、顔赤いですよ」
不意に心配そうな表情に変わった。
その目は、イルカの表情を読みとろうとしている。
「ねえ、どっか具合でも悪いの？」
ただ顔を赤くして俯いたイルカに問いかける。
「な、・・・なんでも」
もどかしい自分の気持ちを隠そうと、笑顔を作ろうとした時。
カカシの長い指がイルカの頬に触れた。

「あ・・・・」

自分でも驚いた。
渇いた声。
熱を持った声で、体がビクついたのも、止められなかった。
耳まで熱い。
きっと真っ赤だろう。

カカシは、イルカに指を差しだしたまま、目を大きく見開き固まっている。
その真意に気づかないで欲しい。
ぎゅっと目を閉じて、言い訳を口にしようとした。
が、気が付けばカカシに腕を取られ横の茂みに押し倒されていた。
ザザザと草と体が擦れる音が、イルカの耳に大きく聞こえる。
「な、な、なにするんですか、・・・あっ！」
抵抗するもの出来ないくらい熱い息を耳元で感じた。
「そんな、俺が欲しかったの？」
その言葉にイルカの頭がくらくらとした。目の際に涙が溜まるのが分かる。
「ちっ、ちが」
その言葉は唇で塞がれ、歯を割り込んでくる舌。
拒む事なんて出来なかった。
カカシは、あの自分の声で全てを知ったのだ。

今押し倒されている事より、自分の考えていた事がカカシに知られてしまった事に羞恥心をかき立てられた。
上擦る自分の声も、止められない。
とろけるような口づけに唾液が口の端からこぼれ落ちた。
「ふ・・・、ぅ」
離れた唇を、名残惜しそうに見つめる。
その目をカカシが見つめていた。
「ちがわくないでしょ。ね・・・俺が欲しいんでしょう？」
理性が残るイルカの困惑気味の顔に優しくキスを落とす。
「じゃあ、俺がいなくてさみしかった？」
「さ、さみしいに決まってるじゃないですか・・」
赤く火照った顔でカカシを見上げた。
イルカに優しい顔を向けている。
「よかった・・・」
その言葉を受け取って、カカシの指が既に堅くなっている胸の先を撫で上げる。
それだけでイルカの体は小さく跳ねた。
長い指が愛おしげにコリコリと服の上からなじる。
カカシの唇が、もう片方の堅くなった突起に服の上から吸い上げ始めた。
イルカはもじもじと腰をくねらせ、声を上げる。
耳元では草がガサガザと音を立てた。
その音がイルカの耳に、時間をかけて伝わった。
「か、カシ先生・・・ここじゃ・・人が・・」
そう、ここは人通りが少ないとはいえ道の横。
草が多い茂っていても、人が通れば誰だって気が付く。
止まらないカカシの腕を押さえようとした。
「だいじょうぶ、イルカ先生が声出さなきゃ・・」
熱の持った声だと、イルカは感じた。
時間をかけられないと、焦っているのかもしれない。
するりと、服をたくし上げられた。
すぐに触れるカカシの唇。
それだけで、イルカは体が熱くなる。
カカシの手がゆっくりと下に伸び、内股を探り始める。
体がその度に期待と興奮で跳ねた。
「あ、ぁっ、っん」
いつもより声が出てしまう。
押さえようとしても、無理だった。

まさぐる手はイルカのズボンをおろし、双尻にかかる。
最奥に触るより前に、既に濡れているイルカ自身を掴んだ。
「ひっ、・・・・っ」
ぐちゅり、と音を立ててカカシの手が包み込む。
「こんなにもう濡れてる・・・」
うっとりとカカシは呟き、濡れた手の動きを早める。
そのままイルカの最奥へと指を伸ばした。
もう熱く解されたソコは、容易にカカシの指をくわえ込む。
２本、３本と増やされ、熱い中を掻き回す。
「はぁ、・・・っ、んんっ」
いつものようにカカシの行為を拒むイルカはいなかった。
カカシの肩を掴み、強請るようにカカシを見上げていた。
イルカは、ただカカシが愛おしかった。
愛おしくて、愛おしくて、カカシが欲しい。
「イルカ先生・・・」
カカシが涙がこぼれた痕に唇をおとす。
「大好き・・・イルカ先生」
イルカの眉根に皺が寄る。
心もぴくぴくと痙攣してしまったかのように、カカシの言葉に感じていた。
カカシの息も唇も熱い。
引き抜かれた指の代わりに熱い塊が押し当てられる。
「あ、ああぁぁっ」
一気に奥まで突き上げられて、イルカの背中にゾクリと痺れが駆けめぐる。
「あっ、ぁ、んっ」
声を出すまいと、歯を食いしばった。
暗くなった空。
赤みはすっかり溶けて無くなり、きらきらと星が輝き始めている。
その輝きが、自分の目の中で起きているだけなんだろうか。
カカシの銀色の髪が、ふさふさと揺れている。
すごく、キレイだ。
光る紅い眼。
と、カカシと目が合い、唇を貪るように奪われる。
「イルカ先生・・、背中、赤くなっちゃうから・・・四つん這いになって・・・」
激しく突き上げられながら、耳元で囁かれる。
カカシの言葉を理解するまでに時間がかかった。
「ぁっ、・・・や・・・」
腰の動きを止めたカカシを、涙でぼやけた目で見つめた。
脳に伝わった言葉に応えようと体を動かす。
待ちきれないのか、繋がったままカカシがグイとイルカの背中を返した。
震える膝と肘で地面に付く。
ひんやりとした地面。まだ青い葉っぱが更に多い繁ったように感じた。
赤くなってしまったのだろうか、イルカの背中に唇を押しつけてペロリと舐める。
がくがくと、震える体。カカシの少しの動きにさえ、感じずにはいられない。
ゆらゆらと、淫らに腰が勝手にうごく。
いや、動かしているのか。
「俺が欲しかった・・・？」
最初の言葉をカカシは口にした。
「・・・ん・・・や、ぁ・・・」
動かす腰をなぞり、繋がっている場所につつつと、指でなぞった。
繋がった場所を意地悪く指で触る。
「ね・・・答えてよ。・・・俺がすごく欲しかったんでしょう？」
そして、焦らすように軽く腰を前後する。
濡れた音だけがイルカの耳にジンと響く。
際に溜まっていた涙が、ポタリと地面に落ちた。
「・・・欲しかった、・・か、ら・・・おねが、い・・・」
カカシをくわえ込んでいる場所がきつく締まる。
恥ずかしくて、もどかしくて仕方がないんだろう。
カカシは渇いた上唇を舐め、一気に突き上げる。
「はぁ、ん、あぁ、・・・っ」
カカシを感じている。
いつも以上に。

長い指。
自分の腰を支える手。
背中に愛撫を繰り返す唇。
熱い息。

自分の名前を繰り返し囁く声。

こんなにも、カカシを欲している体。
声に出して、伝えたいのに、カカシの起こす律動に何もかもが真っ白になっていく。

自分を欲しているカカシ。
繋がっている、悦び。

ただ、カカシの想いを受け入れているだけじゃないと、伝えたい。

「はっ、・・・っく、」

限界だと言うかのようにカカシが声を詰まらせる。
ぎりぎりまで引き抜いて、ズンと奥まで突き入れられる。
カカシはイルカの中に白濁を放った。

熱い・・・。

そんなぼやけた言葉を浮かべて、イルカは意識を放した。





×××




柔らかい。
暖かい。

うっすらと感じた感覚に、イルカの瞼がぴくぴくと動いた。
心地よい疲れというのだろうか。
起きたくない。
でも、自分はどこにいるんだろう。
うっすらと瞼を開いた。

真っ黒な部屋。
ただ、月明かりで窓から空が見える。
見覚えがある。
カカシの部屋だ。
もぞり、と体を動かせば、すぐ横で静かに寝息を立てているカカシがいた。
イルカを包み込むようにして抱きしめたまま眠っている。
暗闇に慣れてきたイルカの目には、子供のような寝顔のカカシ。
ふふ、と思わず微笑んだ。
体はキレイにされ、寝巻きも着せられていた。
お腹が空いてただろうに、任務あけで疲れていたのか、そのまま自分と一緒に寝てしまったんだろう。
愛おしい。
カカシ先生。

微笑んだままカカシの寝顔をじっと見つめる。

こんな風にカカシの寝顔をしっかりと見たことが無かった。
いつも見られている事が殆どだから。
いつも先に寝てしまい、起きると、カカシは自分を見つめている。
優しい目で、愛おしむように。

今、自分はカカシを愛おしんでいる。

ゆっくりとカカシに唇を重ねた。
柔らかい唇。
離すと同時に、むにゅむにゅと口を動かしてカカシが動いた。
「・・・起きたの？」
まだ少し寝ぼけた声でカカシが口を開く。
「ええ、でもまた寝ます」
そう言って、カカシにぎゅうと抱きつく。
暖かいカカシの胸に顔をくっつける。
応えるように、カカシは優しく腕を回して抱きしめた。
そして、背中を数回撫でる。
「・・・どうしたの？」
いつもより、甘えているイルカに戸惑っているんだろう。
それでも、返される言葉はすごく心地良いほど優しい。
イルカは黙ったまま瞼を閉じた。

気持ちがいい。カカシの心音を聞きながら、イルカもうとうとと、まどろみ始める。

明日。

起きたら。

一番に貴方に好きだと伝えます。


夢心地に寝息を立て始めたカカシをしっかりと抱きしめて、イルカは心の中で呟いた。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2015-08-28T22:20:46+09:00</dc:date>
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		<title>ベクトルは君に向かって　/イライラしてるカカシ先生　15.6.26up</title>

		<description>「なあ、なんでカカシ先生あんな怒ってん…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「なあ、なんでカカシ先生あんな怒ってんだ？」

ある秋も深まった日の午後、ナルトはサスケに呟いた。
「さあな」
すんなりそう答えたサスケも、ぎこちない表情。
サクラはサクラで少し離れた場所でカカシを見つめている。

その様子の通り、カカシは機嫌が悪かった。
虫の居所が悪いとかでなく、怒っている。
それが、はっきりと見てとれた。

胸中見せない、無表情でつかみ所のないカカシは今ここにはいない。
無論、そんなカカシを見た３人の部下は、距離をおいた場所でカカシを見つめている。


発端は前日の夜。
夜を共にしていた相手に言われた一言から始まった。

自分には恋人はいない。
女に不自由した事がないから、特定の相手なんて必要がない。
シタい時にする。
ただそれだけだった。

イルカに惹かれたのはひょんな事で。
任務報告行くと、よくいる中忍に気が付いた。
忍にはいないような明るい笑顔。満面の笑みでいつも向かえてくれる。
里内外でも有名なカカシは距離をおかれるのがいつもの事だった。
なのに、その笑み。

男が自分に愛嬌を振りまくのは体目当てだと思っていた。

だから、あの時。
アカデミーの外で初めて会った時。
「カカシ先生、もうお帰りなんですか？」
報告所にいる時と変わらない笑みを見せた時。

誘ってんのか、この人は。

そう解釈して、カカシはイルカを家に招いた。

何の疑いもなくついて来て、警戒もせずに家に入る。
女を誘うのと同じ様に酒を勧めて。

その夜イルカを抱いた。

思ったより善かった。
昼間に見せる事のない、声や表情をカカシ自身気に入った。
ただそれだけだった、-------はずなのに。

気が付けば毎晩イルカの家に足を運んでいた。
抵抗することのないイルカ。

今まで感じる事の無かった、“何か”に気が付きはじめていた。

「は・・っ・・・う・・ん」
快楽に呑まれそうになりながら、イルカの声が紅い唇から漏れる。
「カ・・・カカシ・・さ・・」
限界だと告げるように苦しそうに呟き、カカシの背中に爪を立てる。
上気した頬に口づけて、更にイルカの奥に激しく突き上げた。



「・・・最近」

汗の引かない体を弄ぶようにして、カカシはイルカの髪を撫でていた。
イルカはいつもそのまま眠ってしまうはずなのに。
その声に、イルカに触れていたカカシの指がピクリと動いた。

「なに？」
「・・・最近、すぐに帰らないんですね」

少し掠れた声でいて、しっかりと聞こえた。
「さあ、今はこうしていたい気分なんで」

再び訪れた沈黙の中、イルカが口を開いた。

「帰ってください」
「なんで？」
「ここにいる必要ないじゃないですか」

むくりと起きあがったイルカは真っ直ぐカカシを見つめる。
光のない闇の中、月の光にイルカの肌が浮かび上がった。

「何のために、ここに来たんですか」
「・・・はあ。突然なに言い出すの？」

何を言いたいのか考える気にもならなかった。
というか、意味が分からない。
気持ち善くなった後に、相手にどうのこうの言って欲しくない。
どんな理由があって自分につっかかるのか。
カカシは眉をひそめた。

何か言おうとしてるのか、言えないのか。
俯いて黙ってしまったイルカの頭をぽんぽんと触る。
「・・・イルカセンセー？」
「・・・どうせ・・性欲処理のために抱いてるんでしょう？」



ソレ、どういう意味？



ガン、と頭に重い衝撃が走った。
目の前にいるイルカが突然豹変した怪物のようにも思える。
闇に輝いている目が、カカシを睨み付けている。

異様な胸のむかつきがカカシを襲う。

気が付けばイルカの腕を掴んでいた。
「っ、いた・・っ」
加減のない力にイルカの顔がゆがむ。
既に慣れているイルカの最奥は、簡単にカカシの指を入り込ませる。
「あっ！？・・・やめっ」
２本、３本と増えた指は止まることがない。
ぐちゅぐちゅと音を立てて、くわえ込んでいる。
「じゃあ、アンタは何で俺とヤッてるの？」
イルカの耳を咬み、荒い息と共に言葉を呟く。
熱い息に、イルカが体を捩った。
答える間を持たせずに、指を引き抜き、熱く猛ったカカシ自身をねじ込む。
「はぁ！・・あぁ・・・や・・・」
イルカの答えは聞かない。
何度も、奥へと突き上げる。


「ねえ。・・・・・・何で？」


頭を振っているイルカを見つめながら、カカシの目は紅く光っていた。


＊＊＊


じゃあ、何て言えば良かった？
どうしたらあんなに怒らなかった？

あの目。
あの時俺を見たあの目。
怒りなのか悲哀なのか。
酷く自分を責めているように睨んで。

・・・・くそっ。

カカシは眉をひそめて押し黙った。


「・・・カカシ先生」
「あ？」

気配に気が付いて、顔を上げる。
無意識にした返事とカカシの顔に、ナルトの引きつった表情が目の前にあった。
「ああ、・・・・なんだっけ。もうそんな時間か？」
「・・・・さっきそう言ったってばよ」
「そっ、そうよ。もうこれで終わりならアカデミーに戻りましょうよ」
ナルトの後ろに隠れていたサクラも、言葉に付け加えた。
部下にこんな顔されてるようじゃぁ・・・ねぇ。
自分の感情を表に出していたのだと、やっと了解したカカシは３人を眺めて小さくため息を付いた。

「カカシ先生。なんでそんな怒ってんの？」
アカデミーまでの帰り道、やっと聞きたかった事をナルトは口にした。
「さあね、分からん」
自分でも不透明な原因と不愉快な思いに、カカシはそっけなく答える。
「ふーん。・・・誰かと喧嘩したとか？」
両手を後頭部で組みながら、うっすらと核心を突いたような言葉。
返事をしないカカシを、ナルトは少し目を開いて見上げた。
「えっ、カカシ先生喧嘩して機嫌悪かったの？」
サクラがナルトの横からぴょこんと顔を出した。
いつのもカカシに戻ってきたので安心したのか、興味をそそられただけなのか。
サクラはナルトとは反対側に、カカシの横についた。
「そういえば、イルカ先生も機嫌悪かったなあ」
思い出した様にナルトが呟いた。
「・・・イルカ先生が？」
「うん。朝会ったんだけど、挨拶しても素っ気なかったんだ。・・・疲れてんのかなあ」
「・・・ふぅん」
ふっかけてきたのは、イルカ自身なのに。
機嫌が悪いもないもんだ。
「イルカ先生が怒るなんて、よっぽどよね」
「ただ単にお前がうざかっただけだろ」
「ああ！？」
サスケの言葉に、目をつり上げてナルトが睨む。
まあまあ、とカカシが片手で二人の間を離した。
「それに目がすごく赤かったんだ」
「それって機嫌が悪いんじゃなくて、泣いて元気が無かったんじゃないの？・・・まったくナルト。あんた何見てるのよ」

昨日のイルカの目を思い出してカカシは空を見上げた。
怒っていたのは分かるが。泣くほどだったのだろうか。
そんな風に相手を泣くまで怒らせた事はなかった。
お互い同意の元でしてたんじゃないのか。
それともずっと嫌々従ってただけなのか。

直接聞けば済むんだろうけど。
今はイルカと口を利くのも面倒くさい。
頭が、この不快な気持ちと疑問でぐしゃぐしゃだ。

重い足取りのままアカデミーに入る。

そうか、ここでいつも会ってたんだっけ。
報告所に入ってイルカに気が付いた。
イルカもカカシに気が付いていない。
ナルトに聞いた通りいつもの笑みは無く、頭を垂れて机を見つめていた。

３人いる中、迷うことなくイルカの前に立って書類を置いた。
「・・・あ、ごくろうさまです」
その報告書に顔を上げる。
瞬間、イルカの目が大きく開いた。
瞬きすることなくカカシを写している。
目が赤い。
誰が見ても一目で分かる。
きっとアカデミーでも泣いたんだろう。
声をかける言葉も無く、そんなイルカに眉をひそめた。

泣かしたのは自分だ。
そのくらい分かる。
でも、俺を不快にさせたのはイルカで。

そのイルカの言葉を、ふと思い出した。
目の前で泣きそうな顔で報告書に目を通しているイルカと、昨日のイルカと何ら違うわけでもない。
それでも、本当にこのイルカが言ったんだろうか、とさえ思えてくる。
「任務、ご苦労様でした。報告書、承りました」
精一杯作った笑顔。
無表情に見つめたまま、イルカを見下ろして。

「イルカセンセー、今夜ひま？」

気が付いたら、口が開いていた。
「は？・・・・・」
カカシの言葉に赤い目がぱちくりする。
「今夜暇かって聞いてるの」
「え、・・・」
「校門の前で待ってますから」
驚いた顔のままイルカは固まって。
カカシは、そのまま報告所を後にした。

普段からつかみ所のないカカシの言動に対して、誰も気には留めない。
もちろん、カカシ自身気にもしていない。
定時後から２時間。日も暮れて闇が里を包み始める。
疎らにいた教師も消え、誰一人通らない。
自分を避けて別の道から帰ってしまったのか。
しかたないと、アカデミーに背を向けて歩き始めた時。まもなく駆けてくる音が聞こえて。それがイルカだとすぐに分かった。

振り向こうとして、がしっと強く肩を掴まれ、思わず身体がよろめいた。
「今日は当番で遅くなる日だったんです！」
苦しそうにして息を吐きながら。カカシを怒ったように見ている。
「あと、あんな場所でやめてください！」
泣き顔見せてたイルカが、今みじんにもない。
どうしてこの人はこんなに勝手なのか。
たぶん、向こうもそう思っているだろうイルカを見つめた。
「赤い目」
イルカはハッとして、指摘された目を隠すように俯いた。
「あなたとは関係ありませんから」
嘘。
カカシは心の中で呟いた。
嘘だと分かっているはずなのに、イルカの言葉が冷たく感じる。
そう、傷ついている。

言葉のないセックスはいつものことで。
それだけで満足していたのに。

この人は違った。
最初に体の関係を持ったあの日から、イルカの様子をさぐっていた。
この人は自分以外の人とも、俺と同じような関係をつのだろうか。
気が付いたら毎日イルカの元に通っていて。
繋がりを絶ちたくなかった。

「あなたが好きだから」

カカシはボソリと呟いた。
何を言ったのかと、イルカは眉をひそめてカカシを見る。
黒く、真っ直ぐな瞳。
自分だけを写している。
この人を他の人なんかに渡したくない。全て自分の物にしたい。
そう思った時、カカシは笑っていた。
独占欲の塊の自分があまりにも子供過ぎて。
「なんで笑うんですか？」
強い眼差しのまま、じっと見つめられる。
「・・・辛い思いさせてすみませんでした」
その言葉に、ポカンと口を小さく開けて、みるみる顔が赤くなっていくのが分かった。
ものすごく困ったような、嬉しいような、怒っているような。
体は素直なくせに、言葉には上手く出せないのは分かっている。
口をくの字にして俯いたまま動かない。
「あなたが好きなんです。だから毎日会いに行ったんです」
俯いたままのイルカを見つめて。
きっと笑ってくれるんだだろうと思った。
あの笑みで、自分を見つめてくれるのだと。
なのに、イルカは顔をしかめたまま動かない。
「イルカ先生？」
ひょいとのぞき込むと。
固く結んでいた唇が震え、目には涙が溜まり今にも零れんばかりに潤んでいる。
すごく悲しい顔をして。
「イルカ先生・・・？」
自分が酷く狼狽しているのに気が付いた。
目の前でイルカが泣いたのは初めてだ。
零れてきた涙がイルカの頬をつたう。
「すいっ、・・・ませ、ん。あなたがそんな事言うなんて、おも、わなくて」
苦しそうに言葉を詰まらせながらイルカが口を開いた。
手の甲で涙を拭いて、小さく体を震わせている。
恐る恐る、カカシは手を伸ばしてイルカの肩に触れた。
ビクと、イルカの体がはねる。
「あなたが何を考えてるのかか・・・分からなかった。すごく・・・・怖かったんです」
そのイルカの言葉を聞いた途端、きゅうと胸が苦しくなった。
こんな事は初めてで、カカシは両肩を包み込みようにしてイルカを胸に抱き込んだ。
「ごめんね、イルカ先生。泣かないでください」
ゆっくりとイルカの背中を撫でても、すぐに涙が止まるわけでもなく。
カカシに抱き込まれたまま、しゃっくりをして鼻をすすって。
「・・・俺も正直不安だったんです。あなたは俺以外の人ともこうやって関係をもつのかと思って」
その言葉にイルカの体がピクリと動いた。
「あなたは誰にでも優しいから」
「そ、そんな優しいだけで・・・っ、他の人となんか・・・」
「でも分からなかったでんです。あなたの気持ちも分からなかった。お互いに苦しんでいた。・・・でしょう？」
ぐずぐずと鼻を煤って、イルカは黙って聞いている。
暖かいイルカを抱きしめながら、自分の心がすごく溶けていくのが分かった。
人にこんなに優しく出来るなんて、思わなかった。
でも、それがすごく心地良い。
自分の事で泣いている。いけない事だと思うのに、すごく嬉しい。
「今日家に寄ってもいいですか？」
頭を優しく撫でながら問いかけると、少し間をおいて微かにイルカは頷いた。
イルカの両肩を掴んでゆっくりと自分の胸から離す。
濡れている瞼、頬に唇で触れて。まだ少し震えている唇を塞いだ。
柔らかい唇をお互いに貪って。

唇を離すと、イルカがはにかむ様に微笑んだ。
その顔は初めてみた笑顔で。
生徒にも、他のイルカの同僚にも、きっと誰にも見せた事のない表情。

自分にだけ。
そう思うとなんだか悔しくなる。
何で早くこうしなかったんだろう。
そしたらこの人の笑顔をもっと先から独り占めできたのに。

もう一度その想いを確かめるように、カカシはゆっくりと愛おしい人を抱きしめた。

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		<dc:date>2015-08-28T22:11:46+09:00</dc:date>
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		<title>間もない二人　/少し意地悪なカカシ先生。15.6.26up</title>

		<description>カカシと付き合いだしてまだ一週間も経っ…</description>
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			<![CDATA[ カカシと付き合いだしてまだ一週間も経っていなかった。
付き合い出す前、何度か飲みに誘われてそれなりに好意は抱くようになり、カカシと打ち解けたと思っていた。それは勿論友人としてだったのだが、カカシは違っていた。恋愛の対象としてイルカを見ていた。
ここ何年も彼女がいないとボヤいた時、カカシはサラリと言った。
「オレと付き合うのはどうですか？」
「え～何言ってるんですか～。カカシ先生、何の冗談」
「いや？至って真面目ですよ。イルカ先生が好きなんです。じゃなきゃこんなに特定の人誘ったりしないよ」
ニコニコとしながら言われた言葉に一気に酔いが醒めたのが分かった。きっと動揺ぶりが顔にも出ていただろう。
「あれ、分からなかった？オレちょいちょいアピールしてたのに。ま、イルカ先生らしいよね。取り敢えず付き合ってみようよ」
肩肘ついてイルカをウットリと見つめている。
アピールなんて微塵にも感じていなかった。そうか、度々感じていたカカシの熱い視線はそんな意味があったのか。
些か上忍の威圧を感じ否定なんか出来る雰囲気ではなかった。

付き合いだしてすぐにカカシは任務にでた為、それから6日間会っていなかった。
「イルカ先生」
アカデミーの授業も終わり、イルカは教室から出て職員室に向かっていた。
聞き覚えのある声に振り向くと、カカシが階段脇に立っている。
「あ、カカシ先生。こ、こんにちは」
ドキマギして変な挨拶をするイルカにカカシは少し吹き出した。
「なに、緊張しちゃってます？やっと任務終わったんですよ。イルカ先生はもう終わり？」
「はい、今日はもう」
「だったら先生の家に行きたいな。何か作ってくださいよ。これでも少し疲れてるんです」
言われて、イルカはしまったと思った。
カカシが任務からいつ帰るか分からない為、一応予定は空けるようにしていたが、よりによって今日は先月から約束が入っていた。
顔にでているのか、
「もしかして先約でもあるの？」
ズバリ言われて頭を下げた。
「先月から約束してて、なんか・・すみません」
カカシが黙りこくっているのでイルカは顔を上げる。
「・・まあねえ、付き合う前からの約束なら仕方ないですね」
「すみません」
「じゃあ明日、オレに付き合ってよ。明日休みなんですよ。イルカ先生も休みですよね？」
 何で知っているんだと首をひねりながら、頷いた。
「ええ、分かりました。・・じゃあ今日は失礼します」
 急いで職員室に歩き始めたイルカの後ろ姿を眺めながら、カカシはほくそ笑む。
(可愛いなあ、イルカ先生)
一週間もイルカを見ていなかった為か、久しぶりに見たイルカの笑顔やあの少し大きいが引き締まったお尻を見て今すぐ抱きしめたい衝動に駆られていた。
しかも約束とは言え自分へのつれない態度。イルカへ後ろ髪を引かれてならない。
イルカが職員室に入るまで見届けてから、カカシは歩き出す。
明るい空には月が見え始めていた。

「じゃ、お疲れ～」
皆でグラスを突き合わし、イルカはビールを一気に飲み干した。仕事終わりの生ビールは格別に美味い。気の合う仲間と一緒とならば格別だ。
「相変わらずイルカは早いな～」
ピッチャーのビールを空になったグラスに注がれ、イルカは笑った。
「このために今日は頑張ったからな。お前らだってそうじゃないの？」
「まあな、中間管理職の辛さだよ。下にはまとわりつかれて上からはせっつかれる」
皆がドッと笑いイルカも笑った。
上とは上忍の事だろうが、まあそれは確かに合っていた。最近受ける任務を選り好みしない五代目のお陰で、任務に駆り出される上忍のストレスは、下である中忍に確実
に浸透していた。
カカシも今日まで一週間任務で里を離れていたくらいだ。
不意にカカシの事を思い出し、頭を振るとビールをゴクゴク飲む。
今日は悪い事をした。あんな告白をされた後、6日ぶりに会ったカカシに年甲斐もなくドキドキしたのは確かだ。
未だに、本当に自分とカカシが付き合っているのか実感がない。何年も前に付き合っていた彼女と別れて以来、誰かを好きになったり恋愛として好かれる事もなく時だけが過ぎていた。まさかあの憧れさえ抱いて
いた、写輪眼のカカシに告白されるとは。人生分からないものだ。
次第に店の中も賑わい出し、イルカ達の酒も進んだ。久しぶりの同僚との飲み会。グダグダとしながらも話すことは尽きない。
「お、イルカ。お前らもここで飲んでたか」
その声で顔を上げると、上忍のアスマが立っていた。大柄な男で一見強面な風だが、上忍の中でも気さくで話しやすい。
イルカを特に気に入っているのか、よく声をかけられていた。イルカも酔った顔で快く返事をした。
「お疲れさまです。こんな店に来るなんて珍しいですね」
「ああ、たまにはな。賑やかな店に来たくなんだよ」
座ってるイルカを見て笑うと周りを眺めた。
上忍となると安い居酒屋には殆ど出入りしなくなる。個室がある高めの料亭が殆どだ。
「はたけ上忍、お疲れ様です」
「へ？・・・・あっ！」
 同僚が緊張気味に発した言葉に驚き、アスマの後ろにいる影がカカシだと確認して目を丸くした。確かにカカシが立っていた。
イルカからはアスマに隠れて全く見えていなかった。
「お疲れー」
いつもの眠たそうな目で片手を上げる。表情は伺えなかった。と言うか、驚いてそれ
どころではない。
「相変わらず此処は混んでんなー。カカシ、ここでいいか？わりぃなお前ら」
まさかの隣のテーブルにアスマが腰を降ろした。イルカのいるテーブルは凄い勢いで空気が澄んで静かになる。混んでいる以上致し方ない事なのだが、これでは下手に何も言えない。が、これ以上沈んでいても仕
方がない。1人が立ち上がりアスマにビールを注いだ。
イルカは未だに動揺が収まらずカカシをチラチラと隠れ見てはグラスを口にした。カカシはイルカの対角線状に座っている。適度な距離に思えイルカは何故か少し安心した。カカシは酒をそこまで飲まない。同僚
が注いだ酒も口をつけずに置かれたままだ。
「ほんと、悪いな。適当に飲んだら帰るからよ」
「いや！折角一緒の席になったんです。楽しみましょう！」
アスマに気を使われ、皆無理にでも笑いだす。アスマだけならともかく、あのカカシがいるのだ。彼の機嫌だけは損ねたくない。カカシは元来人を寄せ付けないオーラを漂わせ、アスマの様に気を使うことも無い
。出来る限り無礼だけは避け、この場をしのぎたい。
そんな気持ちが痛いほど伝わり、イルカは内心皆を気の毒に思う。カカシは表情変わらずメニューを眺めていた。
不意にカカシが視線を上げ、イルカとカチリと目があった。思わず目を下に背けて俯いた。頬が一気に熱を持つ。
(何やってんだ俺！)
普通にしなければと笑顔を貼り付けて、内容はサッパリ頭に入ってこないが同僚の会話に耳を傾ける。
にしても、カカシは何故アスマと飲みに来たのだろう。任務で疲れたとか言ってなかったか。てっきり自宅に帰り身体を休めてるとばかり思っていた。
帰り際アスマに出くわして無理に誘われて来たとか、そんな所だろう。
いや、カカシは誰に対しても公平にマイペースを貫く性格だ。嫌々こんな混み合ってる居酒屋に来たいと思うのか。
「・・・ルカ、イルカ聞いてんのか？」
隣に座る同僚に肩を叩かれハッと我に帰る。アスマ含め皆が笑った。
「もう酔って眠くなったか？」
「ほら、アスマ上忍が聞いてんだから答えろよ」
「あ、・・何を？」
「女だよ、女。彼女が出来ないイルカを心配してくれてるんだよ。最近はどうなんだ？」
 気がつけばそんな話になっていたのか。色恋は盛り上がりやすい話題なだけに分かるが。
(何故このメンツで、しかも俺！！)
内心逃げ出したくて堪らないのを抑えて顔を崩して笑った。
「俺ですか？いや、どうだったかな・・」
なんとも歯切れの悪い返答に、アスマは眉頭を寄せた。
「なんだそりゃ、ハッキリしろよ。いるかいないかの2択じゃねーか。あ、それとももしかしているのか？」
アスマは楽しそうに笑みを浮かべ、ビールを飲む。
心臓が今までにないくらいバクバクしている。
どうする。これは、言うべき流れか？付き合ってますって？カカシ先生と？
(い、言えない！！)
「イルカマジで彼女出来たの？マジかー！」
無言は肯定と見なされたのか、同僚が驚いて顔を輝かせている。
「いや、その、」
暑くないのに汗が出てきた。頭が沸騰しそうだ。この場を凌ぐ方法が思いつかない。
自分の能力では無理があった。馬鹿正直な自分の性格が恨めしくなる。カカシをチラと見ると、美味しそうにホッケをほじって口に運んでいる。
我関せずを貫くつもりなのか。ここでは内密ってことなのか。
(分からない。カカシ先生、貴方の表情分からなさすぎです！)
今更ながらに心で訴えてみるが、解決にはならない。
「ここで話さなきゃ男じゃねえなぁ、なあ？」
アスマの周りを固める発言で涙が出そうになる。
「ねえねえ、オレは？オレの事聞いてよ」
挨拶以来黙っていたカカシが口を開き皆が注目した。
イルカは涙目でカカシを見つめた。良かった、これ以上いじられたらどうにかなってしまいそうだった。カカシはそれを察して助け舟を出してくれたのだ。
「何で今なんだよ。イルカの話の後だ。てか、お前は常に女囲ってるじゃねーか」
軽く舌打ちをしてアスマがカカシを見た。
他の中忍も皆同じ意見だが、カカシの存在はそれ以上に絶対だった。
「是非！聞かせてください。勉強にさせていただきたいです！」
「えー、そう。じゃあ聞いて。オレね、最近恋人できたんだよね」
頷く周りを他所にイルカは固まった。やめてくださいと、目で訴えるがカカシはイルカを見る様子もない。あえて無視を決め込んでいるようにも見えて、焦りがイルカに広がった。
「ま、おれの片想いだったんだけど、ようやく成就して今日で一週間かな」
「うわ、お前マジか」
アスマが毒吐きのように呟く。
何を、何を言いだすんだこの人は。もしかしてこっからサラリとカミングアウトするパターンなのか。
何を考えているのか分からない。矛先が変わりホッとしていたのに。
汗ばんだ手でグラスを持ちながらカカシを見入っていた。
当のカカシは、のほほんとして少し顔をほころばせている。
「あれ、面白くない？」
カカシの顔は笑ってはいるが訝しむ空気を出し、周りが慌てて首を振った。
「いや、そんな純粋な話をはたけ上忍から聞けるとは思っていなくて！是非続きを聞かせてください！」
「んー、まだ付き合い始めだから手探りなんだけどね、きっと料理はそこそこだと思うんだよね。得意料理は卵焼きとか味噌汁とか」
(・・それは合ってます、カカシ先生)
「性格は温和で子供好きかな。面倒見もいいんだよね、あの人」
「はたけ上忍、最高ですね」
 誰かが持ち上げる。イルカの胸は熱くなった。カカシが人前で自分を褒めてくれている。恥ずかしいのに嬉しい。
 「まあねえ、ただお人好しで騙されやすいんだよね。だってオレみたいのにすぐひっかかったでしょ。ひょいひょい他の人についてきそうで心配かな～」
笑ってカカシは烏龍茶を飲んだ。
「体型は俺好みの中肉中背で、1番そそるのは尻かな。大きいんだけど、締まってる感じ？あの尻を見ると無性に後ろから襲いたくなるかなー。バックでやったら突きや
 すそう」
アスマがおもむろに嫌な顔をした。
「あとね、唇も好きだなー。ポテッとしててキスしたら絶対柔らかくて美味しそう。
それがヤラシー感じで堪んないんだよね。いっつも真面目な事しか言わないあの口を見ると色々想像が膨らんで膨らんで。夜はどんな感じかそのギャップがねー考えただけで楽しくならない？フェラしてもらった
らどんな感じかなー、とか」
凄い勢いでドン引きした空気の中カカシは幸せそうに話している。
イルカは怒りで身体が震えた。これは何だ？何かのプレイなのか？
やめてくれ。頼むからもう終わりにしてくれ。
イルカの心の叫びを他所にカカシは饒舌に話し続ける。
「きっと感度も凄い良さそう。鳴いた時の声も可愛いんだろーな。経験なさそうだから、イクのも早く」
「おい、カカシ、」
「やめろーー！！」
アスマがカカシの会話を制すると同時にイルカは叫びながら立ち上がり、真っ赤になって全身を震わせた。手に持つグラスを割らんとばかりに強く握りしめている。
「おい、イルカ？」
同僚が声をかけるが、イルカの耳には届いてなかった。カカシを凄い形相で睨みつけている。
「カカシ先生！！あんまりです！！あんたそんな風に俺を見てたんですか！？最低だ！！」
皆唖然としてイルカを見た。
「あれーイルカ先生、そんな事言っていいのー？バレちゃうよ？」
カカシは心底嬉しそうな顔をしている。何がそんなに嬉しいんだ。イルカの額に青筋が立つ。
「・・・っ、カカシ先生なんか嫌いだ。大っ嫌いです！！」
そう口にすると視界がぼやけた。
言葉の暴力だ。横暴だ。権力を逆手に取ってセクハラ行為をしているだけだ。
ぐいっと袖で目際を拭うとイルカは店を速足で出て行く。
誰も止めることも出来ずにイルカを目で追う中カカシは立ち上がる。
「あ～、じゃ、オレイルカ先生を送ってくから」
恋人ですからねー、と呟き、その場の空気に似つかわしくない、嬉しそうな顔のまま
カカシは店を出て行った。
「・・・あいつイルカと付き合ってたのか」
しばらく誰も口を聞けない空気の中、アスマの低い声が響いた。
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